MESSAGE23

[ 教員 / 九州大学 ]

5年間で300名の学生が修了。
鉱物・エネルギー資源を担う人材を育成。

菅井 裕一准教授

工学研究院

参加したプログラム

実施エリア

  • インドネシアインドネシア
  • カンボジアカンボジア
  • タイタイ
  • フィリピンフィリピン
  • ベトナムベトナム
  • マレーシアマレーシア

世界的な鉱物資源および
エネルギー資源を担う人材を。

九州大学が平成24年から5年間にわたって実施してきた本教育プログラムは、鉱物資源やエネルギー資源などの地球資源分野における、日本国内およびASEAN諸国の若手人材育成を目的としています。
今後、世界的な鉱物資源およびエネルギー資源の安定供給において役割が大きくなると予想されるASEAN諸国では、担い手となる若手人材の育成が極めて重要です。また、わが国の鉱物資源およびエネルギー資源の安全保障を考慮すると、わが国とASEAN諸国の若手人材をともに教育しながら、人的ネットワークを構築し、強化することも重要となります。このような理念に基づき、九州大学は、国内では早稲田大学および北海道大学と、ASEAN諸国ではバンドン工科大学、ガジャマダ大学、チュラロンコン大学、マレーシア科学大学、ホーチミン市工科大学、フィリピン大学、カンボジア工科大学と連携してプログラムを展開してきました。

地球資源分野の課題解決力と
人的ネットワークを獲得。

本プログラムでは、学生の能力を段階的に向上させるため、下記のようなビルドアップ方式の教育プログラムを構築して実践してきました。

  1. 学部生が地球資源分野の基礎的な知識と技術を座学と海外フィールドにおける巡検を通じて身に付ける「サマースクール」
  2. 連携大学を介して海外の地球資源フィールドで短期研修を受ける「国際インターンシップ」
  3. 幅広い分野の、より深い知識を身に付け、ディスカッション・プレゼンテーション能力の向上と若手人材の人的ネットワーク強化を図る「スクールオンザムーブ」
  4. より高度な研究者・技術者として、将来的に各国の地球資源分野のリーダーとなり得る人材を養成する「大学院ダブルディグリー」

とりわけ「スクールオンザムーブ」では、毎年日本およびASEAN諸国から選抜された約40名の学生が、3カ国を2カ月にわたって訪問しました。現地では、各国の著名な教授ならびに資源企業の経験豊富な技術者の講義を受講し、その国の特徴的な地球資源フィールドにおける調査・研修に参加。そこで修得した知見を活用し、同分野のさまざまな課題の解決策を考えるディスカッションやプレゼンテーションなどを行いました。参加学生はこれらの経験を通じて地球資源分野の知識や応用技術を学び、それらを駆使した課題解決方法を自ら考える能力を修得しました。
また、スクールオンザムーブにおいて参加学生同士の相互理解が深まったことにより、地球資源分野における日本-ASEAN諸国間の若手人材ネットワークの構築・強化が着実に図られました。この人的ネットワークは、本教育プログラム修了生が将来的に地球資源分野で世界的に活躍する際の大きなアドバンテージとなり、ひいては各国の鉱物資源およびエネルギー資源の安全保障の一助にもなり得ることでしょう。

ダブルディグリーによる長期滞在で
高度な研究に取り組む。

さらにスクールオンザムーブの上位に位置付けられる「大学院ダブルディグリー」も、バンドン工科大学ならびにガジャマダ大学の協力のもと設置。学生は派遣先大学に最長1年間滞在し、地球資源分野に関わる講義を受講し、派遣先大学の研究者らとの共同研究を通じて知識の専門性を深め、より価値の高い研究成果をあげて九州大学と派遣先大学の双方から学位(修士)を取得します。派遣先大学での長期滞在のなか、高度な教育を受け、現地研究者らとともに研究にも取り組むことで、将来的に各国の地球資源分野のリーダーとなり得る人材の養成が図られます。これまでに、バンドン工科大学から九州大学に派遣された1名の学生が本プログラムを修了して両大学から学位を取得。さらに、ガジャマダ大学から3名の学生を受け入れ、九州大学からバンドン工科大学に2名の学生を派遣しており、これらの学生も近く修了予定です。

グローバルに活躍するための能力と、
強固なネットワークを構築。

5年間にわたって実施してきた本教育プログラムの修了学生は300名を超え、このうち半数はASEAN諸国の学生です。修了生に向けたアンケートでは、その多くが本教育プログラムで幅広く深い知識を修得するとともに、その知識の活用方法や、ディスカッション・プレゼンテーション能力など、グローバルに活躍するための能力の向上が図れたとの結果が得られています。また、本教育プログラムの修了生は引き続きソーシャル・ネットワーキング・サービスなどを活用して相互にコミュニケーションを取っており、日本とASEAN諸国の若手人材間の強固なネットワークが構築されていることも大きな成果です。