「考え方」を変える海外インターンシップ

京都大学ジャパンゲートウェイ構想(JGP)環境学分野では、3か月以上の長期インターンシップが必修となっています。米カリフォルニア大サンディエゴ校(UCSD)で3か月間の研究インターンシップを経験した清水巧巳さんに、インターンシップでの経験を語っていただきました。

 海外の研究環境を体感

私は卒論で取り組んだ地盤と熱の関係をより深く研究するために、この分野に強い米カリフォルニア大サンディエゴ校(UCSD)に平成29年9月から11月まで滞在して研究しました。京大には無い大がかりな実験施設もあり、論文を読んだり、机上で計算したりするだけではつかみにくい地盤の挙動を、実感することができました。

UCSDの研究室のメンバーは、別の学位をとってから再び大学院で学んでいるような人も多かったので、京大の研究室より年齢層は高めで、学習意欲も旺盛だと感じました。

京大の研究室では、土木の研究といっても、水に関わる分野、土に関わる分野など専門に特化しています。しかしUCSDではもっと分野間の人の交流や研究室間の交流も日本より重視しているようでした。そんな研究環境の違いも肌で知ることができました。

 短期の旅行とは違う「3か月」の効果

旅行が好きで、アルバイトで資金を貯めて、年に2回は海外に出かけ、これまでに20カ国訪れました。しかし、旅行の滞在期間はせいぜい2週間です。それに対してインターンシップは3か月間もあり、ホームステイで暮らし、海外の大学で研究に没頭できる体験は格別でした。

例えば、旅行に比べて、現地の人とのコミュニケーションの頻度や深さが違ってきます。私には、自分の言いたいことをはっきり伝える努力、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が弱かったことを自覚させられました。

不自由な英語で自分の意思を伝えるために、頭の中で一度言葉を整理して、きちんと伝わるか、適切なのか検討しながら言語化するようにしていました。おかげで、何かを考える時に以前とプロセスが少し変わり、より論理的に思考するようになってきたと思います。

 海外と交流する大切さと気付き

京大で私が属している研究室も、メンバーの半分以上は留学生です。多国籍という雰囲気はUCSDの研究室と似ています。自分が留学や長期滞在に際して手続きなどで苦労したことを思うと、日本への留学生たちも様々な場面で不便を感じているのではないかと想像できるようになり、彼らともっと話をするようになりました。

旅行の時も薄々感じてはいましたが、日本文化について自分の知識が浅いことも、思い知らされました。現地の学生に「川端康成の『伊豆の踊子』がとても好きな本の一つなんだ。あの作品の冒頭部分について君の解釈を教えてほしい」と言われたのですが、私は読んだことがなく、彼にも日本文学にも申し訳無さを感じました。日本文化を胸を張って海外に発信するためにも、まずは自分が良く理解しなければならないと気づけたのも、大きな成果でした。

大学院修了後、研究の現場からは離れ、テレビ局に就職して番組という形で作品を作る仕事をしていきます。京大や海外で身につけた専門知識を今後のキャリアで活かしていきたいと思います。海外インターンは、自分を変える大きな機会になります。関心のある後輩たちには、ぜひとも活用してもらいたいです。

(平成31年 2月)