SGCは「視野を広げたい」に応えてくれた

京都大学ジャパンゲートウェイプログラム(JGP)化学分野の「スーパーグローバルコース」(SGC)に在籍し、米ミシガン大学の研究室で9か月間の研究インターンシップを実施した工学研究科分子工学専攻博士後期2回生の源城拓哉さんに、お話をお伺いしました。

英語は苦手だけど海外に行きたかった

「SGCの受講生は留学できる制度がある」と教授から聞いて、修士課程1回生の3月に応募を決めました。京大の若手人材海外派遣事業「ジョン万プログラム」や、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」も知っていましたが、敷居が高く、漠然と手の届かない制度だと思っていました。

英語は苦手でした。修士課程1回生の時に、外資系企業の国内インターンシップに参加したこともありますが、そういう場で、英語の能力が十分で無いことを思い知らされていたので、なんとかしなければ、とSGCに飛びついたわけです。

SGCを修了するためには自分の専攻の学修に加えて、海外での研究インターンシップなど決められた活動を行うことが求められているので、コースワークの一環として、自分の研究に近い分野に留学することができます。SGCのセミナーで来日された海外の教授と食事をしたり、一緒に実験したりできる機会もあって、留学受け入れ交渉も、顔を知った相手と進められました。そんな場が豊富にあることや、受け入れ先との交渉・手続きをサポートしてもらえることも、このプログラムの魅力です。

多国籍、最先端ラボの現実「学生のうちに来てよかった」

博士後期課程1回生の7月から翌年3月まで、米ミシガン大学の研究室に留学しました。実験を指導してくれたポスドクの人とアパートをシェアして暮らし、バスで15分ほどのラボで朝9時ぐらいから夜6時ぐらいまで研究するというスタイルです。インド人の教授以下、米国、ドイツ、インド、中国、イラン、日本など多国籍の研究室。日本と様々な面が異なる研究スタイルを知ることができました。

1年ごとの更新を前に、結果が思うように出せず悩むポスドクの姿など、国際的なラボにおける現実も目の当たりにしました。身軽な学生のうちに、そんな様子を知ることができたのは、今後のキャリアで役立ちそうです。

自分の研究を客観的に見つめ直すチャンス

今は、ダイヤモンドをセンサーに用いて、細胞の中の生体分子の動きを追う研究をしています。目の前の研究だけに集中していると、パソコンの前と実験台を往復するだけの日常になってしまいがちです。

SGCでは、海外の研究者を招いたセミナーや、他の受講生との交流の場があり、狭い専門分野から少し離れ、視野を広げるチャンスがあります。また留学先では、敢えて現在の研究テーマと少し離れたことに取り組んだことで、自分の研究テーマの位置づけや研究手法を俯瞰的に再確認し、さらに新たな手技を身に着けることもできました。

ほかの分野も知って視野を広めたい、留学して挑戦したい、という学生にお勧めのプログラムです。

(平成31年 1月)