MESSAGE18

[ 参加学生 / 明治大学 ]

東南アジアの貧困格差を学ぶため、
フィリピン大学に留学。

藤本 侑佳さん

国際日本学部

参加したプログラム

実施エリア

  • インドネシアインドネシア
  • シンガポールシンガポール
  • タイタイ
  • フィリピンフィリピン
  • ベトナムベトナム
  • マレーシアマレーシア
  • ラオスラオス

タイでの短期研修、
フィリピンでのボランティアの共通点。

半年前に参加した短期東南アジア実習では、タイのバイリンガルスクールで英語教師のアシスタントとして1カ月間研修を行いました。そして現在は、フィリピン大学ディリマン校へ留学し、地域開発学の基礎を学んでいます。授業では主に「貧困・開発とは何か」を考え、貧困から脱却するための地域参画型開発ノウハウを学んでいます。授業のない週末には、いわゆるスラム街と呼ばれる地域の小中学生を対象に、チューターのボランティアをしています。タイのバイリンガルスクールで相手にしていたのは幼稚園児なので年齢に違いはあるものの、当時の研修経験が大変生きていると感じます。工夫ひとつで子どもたちが興味を示してくれるかどうか変わるので、レクリエーションを準備する際は、タイでの経験を思い出しながら趣向を凝らしています。

経済格差や植民地支配の歴史に、
考えさせられる日々。

東南アジア留学が欧米留学と大きく異なる点は、生活面にあると思います。カルチャーショックと捉えるかどうかは個人差がありますが、私の場合、日常生活の小さな出来事に深く考えさせられることが多々ありました。たとえば電車に乗れば、立ち並ぶ高層ビルのすぐ近くにスラム街が広がっている様子を窓から一望できます。フィリピン国民の経済格差を視覚的に初めて捉えた衝撃と、その際の何とも表現しがたい複雑な気持ちを忘れることはできません。また、この国においてスマートフォンを持てることは当たり前ではありません。服装や所持品が人々の経済状況を顕著に表すとはどういう意味なのか、フィリピンに来て心底実感しました。キャンパス内でさえ、ストリートチルドレンを見ない日はありません。屋台で食事をしていると、他の客が食事を終えて席を立ってすぐ、ストリートチルドレンが走ってきてテーブルに残された残飯を食べ始める光景を目にします。ショッキングですが、これがフィリピンの日常です。何度目にしても慣れない日常が東南アジアにはあります。「しつこく物乞いをする子どもたちにどう接するべきなのか。ただ無視するのか、小銭を手渡すのか、飴玉をあげるのか…」これは、私が東南アジア3カ国に足を運んで以来、日常的に考えるようになった事柄のひとつです。
また東南アジアへの留学においては、日本が過去にアジア諸国を植民地支配した歴史と必ず向き合わなければなりません。フィリピン大学には、同じアジア圏(インドネシアや韓国)からの留学生が多く、彼らやフィリピン人全員が日本に対して肯定的な意見を持っているわけではありません。幸い、理解ある友人たちに恵まれ、私が日本人だからというだけで否定的な態度を取る人には出会っていません。しかし植民地支配された歴史は、決して過去のものではなく、現在も彼らの国々に社会的・経済的・文化的影響を与えていることを、授業中や友人とのささいな会話から気づかされます。この歴史を日本人としてどう解釈しているのか、はっきりとした個人的な意見を真剣に考える機会をもらいました。

著しく成長する東南アジアとの関わりは、
今後一層強まる。

将来関わっていきたいと考えている東南アジアの貧困格差への疑問を解消するには、現地の大学に留学するしかないと考えてフィリピン留学を決意しました。現状をこの目で見て、同じ分野に問題意識を持つクラスメイトと意見交換し、問題と向き合えたことは、将来を具体的に考えるうえで貴重な経験になったと思います。現在は、フィリピンの現状を授業やボランティアを通じて学びながら、将来自分にできるアクションを模索中です。たとえ微力であったとしても、過酷な環境下で生きる子どもたちが安全な場所で生活を送れるようにアプローチしたいと考えています。
また近年の東南アジアの著しい経済成長は、日本企業から大きな注目を集めています。特にフィリピンは、街を歩いていて子どもや赤ん坊の多さに驚くほど、国の平均年齢の若さを実感します。労働人口が増加しているこの地域との関わりは、より一層強まるのではないでしょうか。東南アジアにおける知識や経験は、必ず将来に生きてくると個人的に思っています。

この環境を当たり前と思わず、
常に感動と問題意識を忘れず。

留学のメリットは、自分に少し負荷をかけることでより充実した日常を送れることだと考えています。留学中に直面する壁は、言語だけではありません。一年中高温な気候に順応すること、新しい土地で一から人間関係を構築することは想像以上に労力が必要でした。しかし苦労が多いからこそ、周りの人に助けられる機会も多く、日々感謝の気持ちを持って生活を送ることができています。大学でも、授業内容を100%理解することはまだ難しいものの、教授の個別補講に毎週通い、大学の授業とは別に現地語のタガログ語習得にも注力しています。本当に興味のある分野だからこそ、「今日の授業も楽しかった」と感じることができる今の環境に感謝しています。 今後もこの環境に慣れきってしまわないように気をつけたいと思います。慣れは日々の感動や疑問を忘れさせてしまうので、今後の留学生活においても小さな出来事に感動し、問題意識を持ち、吸収していきたいと思っています。