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[ 教員 / 早稲田大学 ]

日本語教育を軸として
人物交流・人材循環を喚起。

川上 郁雄教授

事業責任者/日本語教育研究科長

参加したプログラム

実施エリア

  • インドネシアインドネシア
  • シンガポールシンガポール
  • タイタイ
  • フィリピンフィリピン
  • マレーシアマレーシア

日本とASEANとの架け橋となる
人材の育成に向けて。

2012年度に文部科学省の「大学の世界展開力強化事業(ASEAN諸国等との大学間交流形成支援)」に採択された「『日本語教育学』総合学習プログラムを通じた重層的・循環的人材育成事業」を2016年度までの5年間実施しました。
本事業は、文部科学省において、SEND(Student Exchange ‐ Nippon Discovery)プログラムと称される区分の事業で、その趣旨は、ASEANとの交流プログラムにおいて「日本人学生が留学先の現地の言語や文化を学習するとともに、現地の学校等での日本語指導支援や日本文化の紹介活動を通じて、学生自身の異文化理解を促すことを海外留学の目的の一つとして位置づけ、将来、日本とASEANとの架け橋となるエキスパート人材の育成を目指す事業」と説明されています。

「日本語教育学」総合学習プログラムを構築し、
交流を展開。

その趣旨にのっとり、本学では、大学院または学部にて日本語教育学を主専攻・副専攻とする学生に対して海外日本語教育実践の機会=海外実習を提供するとともに、ASEAN諸国の10の大学の日本語学習者に対して実践的日本語教育を提供する「日本語教育学」総合学習プログラムを本学とASEAN諸国の各大学とが共同で構築しました。そして、本プログラムを通して本学とASEAN諸国の各大学との間で双方向の交流を展開することにより、本プログラムで養成する人材に求められる能力の修養を図ることを目指しました。

日本語教育実践と
異文化体験を通じて広がる可能性。

本学では留学生10,000名構想のもと、海外からの留学生を積極的に受け入れると同時に、本学の学生に海外留学も含め海外で学ぶ機会を広く提供する大学の国際化を強く推進しています。本プログラムもその国際的な教育実践の一環として展開されました。大学院日本語教育研究科では国内外で活躍する日本語教育の専門家養成を行っており、当研究科の大学院生はこのプログラムにおいて日本語教育学を学ぶ本学の学部生を指導し、かつ、共に現地の大学において日本語を学ぶ学生たちへの日本語教育実践を行いました。このことを通じて、大学院生は日本語教育の専門家としての力量を高めることができました。同時に、本学の学部生は海外での日本語教育実践と異文化体験を通じて自らの可能性を広げ、かつその経験を自らのキャリアに生かす姿が見られました。このような実践は大学院生の交流(長期・短期)と学部生の交流(長期・短期)として、本学とASEAN諸国の大学との間の双方向で展開され、いずれの学生たちも多くの成果を得ることできました。

多様な日本語学習者に対応できる
日本語教育者を養成。

このように本プログラムでは、本学とASEAN諸国の10大学が協働して、国内外の日本語学習者・学習ニーズの多様化に対応した教育プログラムを構築しました。人物交流・人材循環を起こして多様な日本語学習者に対応できる日本語教育者、または実践的日本語運用能力を身に付けて幅広い分野で活躍する人材を養成するとともに、本プログラム参加大学における日本語教育専門家養成および日本語教育のカリキュラムとの融合・一体化を目指しました。