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[ 座談会 / 千葉大学 ]

日本でも増える外国籍の子供たち。
将来の教育現場につながる体験を。

参加したプログラム

実施エリア

  • インドネシア
  • カンボジア
  • シンガポール
  • タイ
  • ベトナム

野村 純教授 教育学部 養護教育講座/ツインクルプログラム実施責任者/高大接続プログラム実施責任者
大嶌 竜午助教 教育学部 理科教育講座/学生教育・現地派遣を担当
野町 健太郎さん 工学研究科/チュラロンコン大学(タイ)に派遣
岩元 陽祐さん 教育学研究科/ベトナム国家大学ハノイ教育大学に派遣
長田 ひかるさん 教育学部/インドネシア大学およびカセサート大学(タイ)に派遣
山本 彩乃さん 教育学部/インドネシア大学およびカセサート大学(タイ)に派遣

Q.本プログラムの特長を教えてください。

野村:教育系と理工系学部の学生が4~5名のグループになり、ASEAN諸国の英語が通じる高等学校などで、先端科学の授業を行うプログラムです。最初はASEAN諸国の大学への協力要請に苦慮しましたが、一度実施してしまえば「ぜひまた来てほしい」と好評でしたね。先端教育に触れる良い機会となるのはもちろん、実験を通して子供たち自身が考える機会を与えられるというのが新鮮だったのではないでしょうか。学生のみなさんも、その場の状況に応じて臨機応変に対応できるたくましさが育っていったように思います。

Q.どのようなことを体験されましたか?

野町:半導体デバイスの研究をしているので、タイのチュラロンコン大学でLEDの授業を行いました。一般的な語学留学とは違って、自分で教育プログラムを作れるのがいいですね。クイズ形式にしたりといろいろ工夫しました。優勝グループへの景品としてツインクルオリジナルボールペンを持っていったのですが、あんなに喜んでもらえるとは思いませんでした(笑)。

長田:私はインドネシア大学とタイのカセサート大学、2ヵ国への派遣に参加しました。海外の教育現場に興味があったのですが、実際に授業をしてみると日本の生徒よりはるかにリアクションがよくて驚きましたね。

山本:私も同じです。4回の授業のうち、最初は緊張してばかりでしたが、最後の方はアイコンタクトやオーバーリアクションを交えてどんどん距離を縮めることができました。

岩元:僕はベトナム国家大学ハノイ教育大学への派遣に参加したのですが、学校の環境が日本と全く違うと感じました。日本のような理科実験の設備はほとんどなくて。

大嶌:ASEANでは実験器具が整っている学校はあまりないんです。現地の先生方もそれぞれ工夫されていますが、それでも日本の環境とは大きく異なるようです。

岩元:そのせいか、かんたんな実験でも喜んでくれましたね。他にも、川を泳いで渡って通学している子の話を聞いたりと、異国の学校の環境をいろいろ知ることができて良かったです。

Q.今回の経験は、将来にどう役立ちそう

野町:研究者になるか企業に就職するかまだ決めていませんが、チームでディスカッションしながらプレゼン内容を構築していった経験は、いずれにしても役立つと思います。今後国際化がさらに進めば、非ネイティブと英語でコミュニケーションしなければならない場面が増えてくると思いますが、その予行演習にもなったのではないでしょうか。

長田:ASEANでは、現地の学生がつきっきりで生活をサポートしてくれました。たとえばインドネシアのお茶はとても甘いのですが、飲みづらそうにしていると「日本のお茶は甘くないもんね」と理解を示してくれるんです。そんなちょっとした気遣いの言葉だけでリラックスして過ごすことができたので、多様性を尊重する大切さを実感しました。私自身も今後教員として働くうえで、外国人・日本人を問わず多様性を尊重していけたらと感じました。

山本:私も同じ気持ちです。ASEANでの生活は、現地の学生のサポートのおかげでかなり助かったものの、やはり思うようにいかないことが多かったです。それが子供なら、なおさらだと思います。外国人移住者の増加に伴い、外国人の子供を見守る機会も多くなってくると思うので、今回の経験を活かして支えていきたいと考えています。

野村:山本さんの言う通り、千葉でも最近は外国籍の子供が増えていて、ある地域では1/3にものぼります。だからこそ、海外の子供を教育する以前にまず「知る」体験をしてほしいというのは、本プログラムの狙いのひとつでもありました。

Q.今後のプログラムの展望についてお聞かせください。

野村:今後もプログラムは継続していく予定です。別途、ASEANの留学生を受け入れた後、日本人学生とともにASEANに渡航するプログラム、国際交流に早い段階から親しんでもらうための高大接続プログラムなどの展開も計画中です。

大嶌:その他にはインドネシアの先生を招いての教員研修も予定しています。それによって日本の教育現場でもグローバルへの意識を高めるきっかけづくりをお手伝いできればと。いずれは、「グローバルな活動を当たり前のものにしたい」というのが理想ですね。