MESSAGE9

[ 教員 / 大阪大学 ]

互いの姿に学び、ともに未来を描く。
日本と東南アジアの高等教育交流。

松野 明久教授

国際公共政策研究科

参加したプログラム

実施エリア

  • インドネシアインドネシア
  • カンボジアカンボジア
  • コスタリカコスタリカ
  • シンガポールシンガポール
  • タイタイ
  • 東ティモール東ティモール
  • フィリピンフィリピン

「東南アジアで何が学べるのか」
を再定義し、学生に周知。

「日本とASEAN地域(東南アジア)の高等教育レベルの交流はどうあるべきか」。それは『大学の世界展開力強化事業』を通して、あらためて考えさせられた問題でした。一定の経済発展をとげ、民主化を果たした東南アジアの国々は、冒険心に富んだ日本の若者をもはやそれほど引きつけません。そうした若者たちは、今ではアフリカを目指します。東アジアの国々のように隣国であることが交流の動機ともなりません。東南アジアで何が学べるのか。そのことを再定義し、学生に周知させていくことが、われわれの課題のひとつでした。幸い派遣学生数の目標は達成されたので、それなりの成果があったと考えます。安全保障、平和、民主主義、人権、難民、共生、メディア、ヘルスなど、学生の関心は多岐にわたりました。

社会科学分野に関心を寄せる、
東南アジアの若者たち。

一方、東南アジアから日本への留学を希望する学生は少なくないものの、主に人気を集めているのは理工系・農学系あるいは日本語教育分野です。「平和と人間の安全保障」をテーマに掲げた今回の社会科学分野の学生交流について、どれだけの反応があるか確証はありませんでしたが、実際には非常に多くの希望者が集まりました。社会科学分野のポテンシャルの高さに驚かされたものです。

課題に悩む日本の姿を見ることが、
多くを学ぶ機会に。

経済発展や民主化を経て新しい段階に入った東南アジアの若者たちは、法律や政治・行政制度、社会保障制度、労働政策、環境政策など具体的で専門的な政策分野に強い関心を抱いています。日本の諸制度は彼らにとって身近なモデルであり、実際に「多くのことを日本で学んだ」という声があがっています。さまざまな課題に悩み・取り組む日本の姿を含めて、学んだ部分があったのでしょう。政策を学ぶだけでなく、その背景にある社会の仕組みや価値意識にまで彼らの関心は及んでいました。

日本と東南アジアの若者たちが、
共通の未来を築いていく。

東南アジアの元気な学生たちがクラスに入ってきたことで、日本の大学のクラスが活性化したことは疑いえません。英語のレベルでは、東南アジアの学生たちの方がはるかに先を行っています。本事業では、構想でうたったように、日本と東南アジアの若者たちが共通の未来を一緒に築いていく友人になりえることが立証されたと考えています。