ジャパンゲートウェイ構想のコアである大学院教育の国際化。6つの分野において「スーパーグローバルコース」の実施を推進している教員や職員に、自身の研究や、本事業でやりたいこと、教育研究のグローバル化等のテーマについて語っていただきます。

第一弾は、人文社会科学分野で活動している農学研究科・秋津 元輝教授にご登場いただきます。

Q1: まずはご自身の研究テーマについて教えてください。

インタビュー写真(秋津先生)農村社会に関する研究を行ってきました。近代化・経済発展・インフラ整備等による農村社会の変化がこれまでの主な研究テーマです。海外との関わりという面では、日本の農村と海外の農村を比較する目的で、韓国、タンザニア、ハンガリー、タイ、中国など様々な国で農村調査を行ってきました。こういったことが、本事業のようなグローバル関係の事業に参加する背景となっています。
また、現在の農村が抱える問題を解決するには、農村だけではなく農村を取り巻く社会環境全体を考えなくてはなりません。そこで最近は、「食」を通じて、都市の住人にも食料の供給元である農村や環境について考えてもらうという「食を通じた人間関係」「食の倫理」も重要なテーマとして研究を進めています。このテーマ関連では、北米やヨーロッパの事情についても調査を行ってきました。

Q2:ジャパンゲートウェイ構想における主な取組、目指していることは何ですか?

多くの先進国において、農村や食が抱える問題は似通っています。とくに、ドイツなどのヨーロッパ諸国は日本と非常に近い状況にあるため、それらの国の状況について調査し、考えることは、日本の農村や食の問題の解決策を考える際にダイレクトに役立ちます。このような観点から、ドイツのゲッティンゲン大学や、オランダのワーヘニンゲン大学等と連携しています。本事業の枠組みで農村や食の状況を国際的に比較することで、広い視点で問題を見ることができる次世代の研究者の育成につながると考えています。平成28年の3月には、家族農業をテーマにして、フランスのアグロポリス・インターナショナルやドイツのゲッティンゲン大学と合同でワークショップを行います。
また、アジアではタイのチュラロンコン大学が、農村からの若者流出という問題に対して、田舎から学生を受け入れて田舎に帰すといった新しい取組を行っており、そういった取組から日本も一緒に学べるところがあると考え、連携してワークショップなどを行っています。
これらの連携先大学と博士学生の共同指導を行い、それを証明するための共同履修証明書の発行を行うことを視野に入れています。その連携を修士課程にまで広げていくことも目標です。
振り返って考えると、自分自身は正式に海外で教育・研究上のトレーニングを受けた経験がなく、会議英語以外の英語がなかなかうまくならないなどの苦労があります。学生たちには、京大に在籍していながらきちんと国際化できる機会を提供できることが非常に重要だと思います。若い人達は、こういう機会をぜひ積極的に利用し、海外の研究状況を肌身で感じて、国際的な人材に育っていってほしいと思っています。

Q3:海外から日本への関心を感じることはありますか?

“日本の食”に対しての関心は高まっていると感じます。人類学・社会学的なアプローチで日本の食を研究したい、とヨーロッパや北米から日本に来る人が増えています。
今後はアメリカのケンタッキー大学とも学部レベルの学生交流を進めていく予定ですが、アメリカの大学でも、最近はアジアへの関心が高まっているようです。

Q4: 本事業を進めて行くに当たって今後の課題は何でしょうか。

本事業の「人文社会科学」分野は経済学研究科、農学研究科、文学研究科の3研究科から成っており、特に私の研究分野では、経済学研究科と協働しながら海外大学・機関との連携を行っています。
しかし現状では、研究科を越えて連携しようとする際に、様々な制度的な壁があるため、そういった所が今後より柔軟になっていくといいなと思います。
また、学部・修士レベルで留学生を惹きつけるには、英語による魅力ある授業・プログラムがあるかどうか、という点が非常に重要になってきます。農学研究科には、グローバル30事業の下でできた英語のみで卒業できるコースがあるため、既に多くの英語授業が提供されています。また経済学研究科の東アジアコースにも多くの英語授業があります。こういった既存の資源を本事業の枠組みにおいてどう統合していくか、ということも今後の課題になってくるかと思います。