京都大学は1897年の創立以来「自重自敬」の精神に基づいた自由の学風のもと、創造的・先端的な研究を数多く推進し、ノーベル賞やフィールズ賞などの世界に冠たる賞の受賞者を数多く輩出してきました。

文部科学省スーパーグローバル大学創成支援事業に採択された「京都大学ジャパンゲートウェイ構想」は、本学の強みを生かした数多くの世界トップレベルの研究者ネットワークを活用して、海外の大学と連携して互いに質の高いカリキュラムを提供し、国際認知された学位プログラムを推進することで、共に教育力や研究力、国際競争力を更に強化していく構想です。

平成26年度に本事業が採択されて以降、本学は、「京都大学ジャパンゲートウェイ構想」のもと、世界トップレベルの大学との交流・連携を実現、加速するため、数学分野、化学分野、医学生命分野、人文社会科学分野、環境学分野、社会健康医学分野の6分野をスーパーグローバルコースとして設置し、海外大学の研究者による講義の提供や論文の共同指導等により、学生に対して海外トップレベル教員から教育を受ける機会を増大させる取組を推進するとともに、人事・教務システムの改革、学生のグローバル対応力育成のための体制強化など、国際競争力強化の具現化を図り、優れた能力を持つ人材を育成する環境基盤を整備してきました。

本学では、平成29年第一次の指定国立大学法人の指定にあたり、①自由で独創的な知の創造を支える柔軟な研究組織体制の構築、②次世代若手研究者の育成と若い頭脳の国際循環の推進、③産官学連携の促進及び新しい人文科学の創出と社会への積極的な発信、④ボトムアップの議論に基づく実効的な大学運営と財政基盤の強化の4本柱を軸に中期的将来構想をまとめ、改革に向けた取組を強力に推進しているところであり、教育の一層の国際化、多様な人材の育成・輩出、優秀な人材の獲得を通じて「高度で多様な頭脳循環の形成」の実現に向けた取組を進めています。

今後も、「京都大学ジャパンゲートウェイ構想」とともに、地球社会の調和ある共存、地球規模での人類社会の課題解決に向け、持続的かつ発展的な研究・教育活動の展開により、更なる国際的評価の向上を目指し、事業を推進していく所存です。

2020年10月
京都大学 総長 湊 長博